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🥋 伝承

  • taihoon75
  • 3月22日
  • 読了時間: 3分

更新日:3月22日

富谷市・仙台市泉区・太白区秋保で空手教室を開いています。



🥋 小幡カツヒロ空手放浪記

  【 其の二十四】


 空手に限らず、師から弟子へ

受け継がれていく大切なもの。

それは目に見える技や技術だけではなく、もっと大事なものがあるのではなかろうか。


それは、その師匠の戦いに

関する考え方、

こだわりではなかろうか。


私がそれを感じたのは幼少の頃

聞いた昔話からである。

その話を簡単に言うと、

「牛鬼淵」(うしおにぶち)

という話である。


ある木こりの師匠のもとに

少年が弟子入りをする。

木を切る技は師匠から

どんどん教わって、

上達していくが、

師匠の心の技を感じられぬ

ばかりに牛鬼(うしおに)

という化け物に

殺されてしまう話である。


師匠と少年の住む山小屋に、

毎晩、人間に化けた牛鬼が訪れ、

小屋の窓から顔を出し、

師匠のじいさんに尋ねる。


「お前はここで

何をやっている?」

するとおじいさんは答える。

「牛鬼という妖怪を

ひき殺せるノコギリの

刃(やいば)を研いでいます。」


「ほれほれ、

この十三番目の刃が

鬼刃(おにば)といって、

鬼をひき殺すことが

できるんじゃよ。」と答えた。


すると、人間に化けた牛鬼は

「そうかい、そうかい。」

と言って立ち去った。


その人間に化けた牛鬼は

その後、何日もの間

小屋に訪れた。

そのたびに、じいさんは

鬼を殺す鬼刃を研いでいる

と答えた。

そのたびに、

人間に化けた牛鬼は

山小屋に入れずにいた。


ある日、

おじいさんが木を切って

いる時に、

鬼刃のノコギリを

折ってしまった。

それで、山を下りて

鍛冶屋にノコギリを

修理に出さねばならず、

人里に下りていった。


師匠のおじいさんと一緒に

鍛冶屋に行くのをこばんだ

少年は、一人で山小屋で

留守番をしていた。


夜になった。

いつものように、

人間に化けた牛鬼がやってきた。

同じことを少年に言った。

「お前は何をしているんだ。」


少年は答えた。

「師匠が鬼刃をこわして

里に下りていって、

僕一人で留守番しています。」

すると、人間に化けた牛鬼は

正体をあらわし、

頭から角を出し、口は裂け、

牛鬼のおぞましい姿になって

少年を食い殺してしまった。


次の日、

おじいさんが帰ってきた。

少年の姿を捜したが

どこにもいなかった。

目の前の淵に少年の着物が

プカプカと浮いていた・・・。


子供ながらに私は思った。

少年は師匠の肝心な技を

受け継ぐ気持ちが無かった。


おそらく、師匠が持っていた

ノコギリの鬼刃というものは

存在しなかった

のではなかろうか。


鬼刃という話は、牛鬼を

寄せつけず、警戒心を

もたせるための作り話で

あったのではないだろうか。


まさに武道家にとって大切な

物語、教えだと

子供心におもった。


相手との駆け引きや

危機的な場面での平常心など、

師匠の、あらゆるものに

対する考え方を

学んでいなかった。


いわゆる、

技術より心術である。



   2026/3/21(土)






 
 
 

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