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🥋 伝承

  • taihoon75
  • 4 時間前
  • 読了時間: 3分

富谷市・仙台市泉区・太白区秋保で空手教室を開いています。



🥋 小幡カツヒロ空手放浪記

  【 其の二十四】


 空手に限らず、師から弟子へ受け継がれていく大切なもの。それは目に見える技や技術だけではなく、もっと大事なものがあるのではなかろうか。

それは、その師匠の戦いに関する考え方、こだわりではなかろうか。

私がそれを感じたのは幼少の頃聞いた昔話からである。

その話を簡単に言うと、「牛鬼淵」(うしおにぶち)という話である。

ある木こりの師匠のもとに少年が弟子入りをする。木を切る技は師匠からどんどん教わって、上達していくが、師匠の心の技を感じられぬばかりに牛鬼(うしおに)という化け物に殺されてしまう話である。


師匠と少年の住む山小屋に、毎晩、人間に化けた牛鬼が訪れ、小屋の窓から顔を出し、師匠のじいさんに尋ねる。

「お前はここで何をやっている?」

するとおじいさんは答える。

「牛鬼という妖怪をひき殺せるノコギリの刃(やいば)を研いでいます。」

「ほれほれ、この十三番目の刃が鬼刃(おにば)といって、鬼をひき殺すことができるんじゃよ。」と答えた。


すると、人間に化けた牛鬼は

「そうかい、そうかい。」と言って立ち去った。

その人間に化けた牛鬼はその後、何日もの間小屋に訪れた。

そのたびに、じいさんは鬼を殺す鬼刃を研いでいると答えた。

そのたびに、人間に化けた牛鬼は山小屋に入れずにいた。

ある日、おじいさんが木を切っている時に、鬼刃のノコギリを折ってしまった。

それで、山を下りて鍛冶屋にノコギリを修理に出さねばならず、人里に下りていった。

師匠のおじいさんと一緒に鍛冶屋に行くのをこばんだ少年は一人で山小屋で留守番をしていた。

夜になった。

いつものように、人間に化けた牛鬼がやってきた。

同じことを少年に言った。

「お前は何をしているんだ。」

少年は答えた。

「師匠が鬼刃をこわして里に下りていって、僕一人で留守番しています。」

すると、人間に化けた牛鬼は正体をあらわし、頭から角を出し、口は裂け、牛鬼のおぞましい姿になって少年を食い殺してしまった。


次の日、おじいさんが帰ってきた。

少年の姿を捜したがどこにもいなかった。

目の前の淵に少年の着物がプカプカと浮いていた・・・。


子供ながらに私は思った。

少年は師匠の肝心な技を受け継ぐ気持ちが無かった。

おそらく、師匠が持っていたノコギリの鬼刃というものは存在しなかったのではなかろうか。

鬼刃という話は、牛鬼を寄せつけず、警戒心をもたせるための作り話であったのではないだろうか。


まさに武道家にとって大切な物語、教えだと子供心におもった。


相手との駆け引きや危機的な場面での平常心など、師匠の、あらゆるものに対する考え方を学んでいなかった。

いわゆる、技術より心術である。



   2026/3/21(土)






 
 
 

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